2018年2月13日火曜日

飛べない鳥たち

白と黒の塊がじっとベッドから私を見つめていた、 その塊は実は多数の生き物でできていて、 いや実際には生きていなくて、 生き物を模したものでできていて、 生きてはいないし、 たとえ生きていたとしても恐ろしいものではないけれども(たぶん)、 それでもたくさん集まって一つの塊を形成していると、 おぞましい。 それらは個々に一対の目を持ち、 その乾燥したガラスや、つやつやのプラスチックや、繊維で作られた空虚な小さな目の数々は、 一つの巨大な白黒の塊の中から私を見やる。 その塊は日々増殖し、 ベッドの片隅から今は半分以上を占め、 家はこの生命も意識も持たない不死の塊に浸食され、 白と黒の領域を増していく。 いつの日にか、徐々に部屋の中で割合を増していくこの白黒の塊、 この生を超越したぬいぐるみたちは、 この家をチャップリンの映画のように滑稽で色の無い世界に変えてしまうことだろう。

2018年2月9日金曜日

絡まり合う連鎖

明確な始めも終わりもなくて 生も死も ひとつの連続のなかに絡まり合う無数の連鎖の部分であって 白と黒に単純化したい人にとっては 自らを騙して生きていかないといけない難しい世の中だ

2018年2月6日火曜日

鬱々と

鬱々と、ただ鬱々と、鬱々と。 一時それを晴らしてくれたつかの間の救済は ただの幻覚にしか過ぎず その点、酒や麻薬となんら変わりない

2018年2月1日木曜日

流れる時

流れて行った時は何処に溜まるのだろうか どこに渦巻き、未来との合流を待つのだろうか それとも時は、流れ流れてまた戻ってくるのだろうか

2018年1月30日火曜日

緑の海で

緑の中で、
緑の海に漂って、
流れる風を頬に受け、
鼻腔に緑の命を感じ、
服も風と戯れ声を上げ、
それが緑の歌と共に、
耳にまで届く。

空を仰げば、
そこには青から青までの無限の色合いが広がり、
また白い雲もそこに様々に違う白色を落としている。

それらの色を映し出した、
太陽の目に見えない暖かい線の接吻が、
布と、私の露出した肌とを優しさを持って焼き、
それまで冷たかった心の塊を、
無限の微笑みで溶かし、
緑の風の息吹がそれを柔らかく包み込む。

心はもう悲しみの涙を流さず、
寂しさに震えることも無く、
怒りに枯れることも無く、
つかの間の永遠を堪能するのだ。

次にこの日が来る日を夢見ながら。

2018年1月26日金曜日

錬金術の液体

人を惑わす液体に、
多くの人が惑わされ、
拐かされ、
溺れ、
自らを失っていった。
偽りの楽しさを、
人の中から呼び起こし、
一時の偽りに身と金を投げやり、
一体どれだけの人々が犠牲になり、
一体どれだけの人々が悲しんだだろうか。
それでも金を生むこの錬金術的液体は、
人々の喉と心の渇きと、錬金術師の懐を癒やし、
さらなる乾きを生み出す。

2018年1月23日火曜日

おはよう

いつまでたっても
ベッドの中でぐずぐずしている太陽に
おはようといって
まだ暗闇が歌を奏でる

街へと足を踏み入れる

2018年1月19日金曜日

音を立てて

ガラガラと音を立てて壊される話の筋
ボロボロと音を立てて剥がれる化けの皮
ガサガサと音を立てて調べられる心の中
サラサラと音を立てて崩れさる砂の城

静かに音を立てずに消えゆく命の灯火

2018年1月16日火曜日

満ち足りた空虚さ

友だちと大いに語らい、大いに笑いあった
次の日の満ち足りた空虚さ
また日々の生活という柔軟性を持った予定調和の中で
歯車の一部として延々と回って行く生活が始まる
いっとき緩んだ歯車の愉しみは
その刹那がまた訪れることを願いながら
日々擦れあい、軋みあい、

繰り返しのなかに意味を見つけられるのであれば幸いである