2017年8月28日月曜日

桟橋の、移りゆく景色に、橋から身を投げた。



桟橋の、移りゆく景色に、橋から身を投げた。その瞬間が凍りつく。凍りついたかに見えた時は、其の実、流れをとても緩やかにしただけであった。宙に放り出された身体を認めた時は、その様子をしばし眺めてから、いったいなぜこの人間はこのような状況に至ったのかと、思いを巡らせてみた。なぜこの人物は落ちて行こうとしているのだろうか、何か理由でもあったのだろうか、このようなことがまた起きるのを止めるにはどうしたらいいだろうか?理由を知ることが出来たら止めることができるかもしれない。では何がこうさせたのか?しかし、時はその歩みを遅めることは出来ても、それを遡らせる事は出来なかった。そしてその思考もまた、時間を遡るなどということを考え及ぶことはなかった。

時は、この出来事を暫し考え、それから悩み込み、時の流れは遅すぎてカビが生えそうなほど。しかしもうさらにしばらく考えた後で、時はひとつの結論に達した。きっと当人にはこうなった理由がわかるだろうが、私にはわからない。そして何よりも、この永い時の生涯においてはその終わりに向かうのが私の意図であり使命であり、逃れられない定めなのだ。


時はようやく重い腰を上げ、長く考え事をした後は頭がクラクラするな、とぼやきながら、これまで通りに時間を進めだした。

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