白と黒の塊がじっとベッドから私を見つめていた、
その塊は実は多数の生き物でできていて、
いや実際には生きていなくて、
生き物を模したものでできていて、
生きてはいないし、
たとえ生きていたとしても恐ろしいものではないけれども(たぶん)、
それでもたくさん集まって一つの塊を形成していると、
おぞましい。
それらは個々に一対の目を持ち、
その乾燥したガラスや、つやつやのプラスチックや、繊維で作られた空虚な小さな目の数々は、
一つの巨大な白黒の塊の中から私を見やる。
その塊は日々増殖し、
ベッドの片隅から今は半分以上を占め、
家はこの生命も意識も持たない不死の塊に浸食され、
白と黒の領域を増していく。
いつの日にか、徐々に部屋の中で割合を増していくこの白黒の塊、
この生を超越したぬいぐるみたちは、
この家をチャップリンの映画のように滑稽で色の無い世界に変えてしまうことだろう。
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